フリーランス」という働き方 その光と影とは?
1/6(日) 9:40配信
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雇われない働き方、フリーランスが近年、注目されています。副業やクラウドソーシングが広がるなかで、その経済規模は拡大傾向にあります。クラウドソーシングの仲介大手であるランサーズが実施した「フリーランス実態調査2018年版」によると、2018年時点のフリーランスの経済規模は20.1兆円で、2015年の14.3兆円から1.4倍に拡大しました。フリーランスという概念自体は必ずしも新しいものではありません。新聞紙上には少なくとも30年前から登場しています。では、なぜフリーランスがここにきて注目されるようになったのでしょうか。
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■注目を集める4つの理由
背景には、少なくとも4つの構造的な変化があります。
第1は企業における異質性への着眼です。技術の進歩は速く、消費者のニーズは移ろいやすくなり、技術や商品が陳腐化するまでの賞味期限は短くなる一方です。すべてを自前で開発して生産しようとすれば、時間がかかり競争から取り残されかねません。また、均質的な組織では新しいアイデアは生まれにくいため、一部の企業は社員の副業を解禁し、外部との交流を促すことで、イノベーションを誘発しようとしています。
第2は働くことに関する意識の変化です。ワークライフバランス重視や生産性向上の流れの中で、長時間労働から抜け出す人たちがいます。リモートワークや副業(複業)など新しい働き方を取り入れる人たちもいます。結婚や出産で退職した女性や、定年退職したシニア層などの中には、生きがいのために働き続けたいと考える人も少なくありません。こうした人たちが、フリーランス予備軍となります。
第3は企業への帰属意識の低下です。終身雇用や年功賃金の崩壊、人材育成のコスト削減、同一労働同一賃金の広がり…。これらが行き着く先は自己責任の世界です。組織にしがみついているだけでは、給料は簡単には増えていかない。いつ人工知能(AI)に仕事を奪われ、お払い箱になるかもわからない。こうした状況下で、企業にすべてをささげるインセンティブは失われていくわけです。
第4は技術の進歩です。インターネットの普及で、膨大な量の情報に瞬時にアクセスすることが可能となりました。スマートフォンやクラウドの登場により、いつでもどこででも仕事を進めることができるようになりました。クラウドソーシングなど、人と仕事をマッチングするプラットフォームの登場により、取引先を探索するためのコストや手間は、以前に比べて大幅に減りました。
フリーランス経済圏の拡大は、まさに時代の追い風を受けているのです。
■推進すべき対象か、保護の対象か
このように注目されるフリーランスですが、世の中の論調からは、光と影の両面があることがわかります。前者は制約の多い勤務者の対極にある自由な働き方の象徴という側面、後者は拠るべき後ろ盾をもたない不安定な経営形態という側面です。前者に力点を置けば推進すべき対象として、後者に力点を置けば保護すべき対象として語られることになります。ここでは、双方の視座を踏まえつつ、日本政策金融公庫総合研究所が実施したアンケート(※1)の結果をもとに、フリーランスの実態に迫っていきます。
(※1)2017年9~10月にインターネットを使って実施。
アンケートでは、フリーランスを「消費者向け店舗を構えておらず、正社員を雇用していない企業」と定義しました。フリーランス性の本質は働き方における制約の小ささにあり、消費者向け店舗や正社員の存在はこの制約の度合いを高めると考えたからです。
フリーランスに加え、同じく消費者向け店舗をもたないビジネスでありながら正社員を雇用している小規模な企業(以下、正社員雇用企業という)も調査対象としました。規模間の比較もできるよう、正社員1~4人と5~19人の2グループに分けています。なお、家族従業員の有無や組織形態(個人か法人か)は不問としています。分析は大きく分けて2つの切り口で行いました。1つ目はフリーランスと正社員雇用企業の比較、2つ目はフリーランスをいくつかのグループに分けたなかでの比較です。
■事業分野や働き方に多様性
分析の前半はフリーランスと正社員雇用企業の比較です。両者の違いとして、フリーランスには多様性、働き方に関する自由度の高さ、不安定性といった特徴があります。
データをみながら、順に説明しましょう。表1で、経営者の属性をまとめました。性別、年齢、主たる家計維持者の割合をみると、いずれも規模間で劇的な違いがあるわけではありませんが、「女性」や「39歳以下」、主たる家計維持者ではない人といった少数派の占める割合は、正社員雇用企業よりもフリーランスのほうが大きくなっています。
業種をみると、フリーランスでは「建設業」の割合が20.7%と最も大きく、次いで「事業所向けサービス業」(15.6%)、「消費者向けサービス業」(12.8%)となっています(表2)。業種の分布を正社員雇用企業と比べると、フリーランスは最多層である「建設業」の割合が相対的に小さく、代わりに2番目以下の業種の割合が相対的に大きくなっています。つまり、業種のばらつきは大きくなっています。
1人で稼働する事業のイメージが湧くよう、表には例を示しました。「建設業」なら一人親方、「事業所向けサービス業」ならデザイナーやコンサルタント、「消費者向けサービス業」なら出張美容師やネイリスト、「運輸業」なら個人タクシーや赤帽といった具合です。こうしてみると、一口にフリーランスといっても、様々な事業が含まれていることが分かります。
開業する際に重視したことについては、正社員5~19人の企業では「仕事のやりがい」を挙げる割合が50.6%と過半を占めます(図)。一方、フリーランスでは「私生活との両立」を挙げる割合が39.4%と最も大きく、次いで「仕事のやりがい」(38.8%)、「収入」(21.9%)の順となっています。
私生活との両立を重視する姿勢は、働き方にも表れています。1週間当たりの事業に従事する時間をみると、30時間未満の割合はフリーランスでは42.9%に上るのに対して、正社員1~4人では38.1%、正社員5~19人では28.6%にとどまります。労働時間の短い人が多いことから、収入は少なめです。事業から得ている年収をみると、フリーランスは「200万円未満」が40.1%と最も多く、「800万円以上」は6.5%にとどまっています。正社員5~19人では「800万円以上」(45.9%)の割合が「200万円未満」(18.0%)の割合を上回っているのと対照的です。
■満足と不安が同居
だからといって、フリーランスの満足度が低いわけではありません。「収入」「仕事の内容ややりがい」「私生活との両立」の3項目についてそれぞれ満足度を尋ねたところ、満足と答えた人の割合は「収入」こそフリーランスが正社員雇用企業を下回っていますが、残る2項目については、ほとんど遜色のない結果となりました(表3)。「仕事の内容ややりがい」「私生活との両立」ともに、満足と答えた人が過半を占めている点は注目に値します。
一方で、生活の不安について尋ねたところ、不安を感じている人は、フリーランスでは59.3%と、正社員1~4人(52.1%)や正社員5~19人(43.3%)を上回りました。自分1人で仕事をしている人はどうやっても代えが利きません。10人、20人と従業員がいる企業であれば経営者が一時的に病気やけがで働けなくなっても仕事を回すことはできるかもしれませんが、フリーランスの場合は事業の休止や収入の途絶に直結してしまいます。あるいはマンパワーの制約上、プロジェクトを同時にいくつも抱えることが難しいため、従事している仕事が急に打ち切られた場合に収入が突然ゼロになってしまう事態もありえます。
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ここまでの調査結果をまとめると、正社員雇用企業と比べたフリーランスの特徴は次の3点に集約されます。第1は多様性です。年齢や性別、業種、開業時に重視したことなど、多くの項目で、相対的に偏りが少なく、ばらつきが大きくなっています。第2は自由度の高さです。私生活のウエートが相対的に高く、収入は少ないながらも、多くの人が高い満足を得ています。第3は不安定性です。一人きりであるがゆえに、不測の事態が起きた場合の事業の継続性に不安を残しています。
■「何を重視するか」で働き方に違い
ここまで、正社員雇用企業との比較を通じて、フリーランス全体の特徴をみてきました。分析の後半では、フリーランスをいくつかの類型に分けて、それぞれの特徴を探っていきます。
先に、フリーランスは自由度が高いと述べました。勤務者でも正社員雇用企業の経営者でもなく、フリーランスの立場を選んだ人の多くは、組織に縛られることなく、自分の思いどおりに働くことを望んでいます。ただ、ここでいう「自分の思いどおり」とは、人それぞれでしょう。だとすれば、何を求めて事業を始めたのかが、その後の働き方や満足度などに少なからず影響を与えているはずです。そこで、図で示した、開業の際に重視した要素(択一式)を用いて類型化することにしました。
全体を3つに分けることができ、「収入」を選んだ人を「収入重視型」、「仕事のやりがい」を選んだ人を「仕事重視型」、「私生活との両立」を選んだ人を「生活重視型」と呼ぶことにします。
1週間当たりの事業に従事する時間をみると、「50時間以上」の割合は収入重視型が29.6%と最も高く、次いで仕事重視型(24.0%)、生活重視型(15.9%)となっています。収入を得るためには、長時間労働をもいとわない、ということでしょう。一方、30時間未満の割合は生活重視型が48.3%と最も高くなっています。事業から得ている年収をみると、「200万円未満」の割合は、生活重視型で51.3%と最も高く、仕事重視型(35.2%)、収入重視型(29.9%)と続きます。逆に500万円以上の割合は収入重視型が35.9%と最も高く、仕事重視型(28.5%)、生活重視型(11.6%)の順となっています。当初の狙いどおり、収入重視型は他の類型よりも多くの収入を事業から得ています。
yahooニュース参照
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